私のボディーガード君
次の日、研究室で仕事をしていると秋山さんから電話がかかって来た。
「妃奈子さん、神宮寺綾子さんに何をしたんですか? 謝罪しろって凄い勢いでクレームが来ましたよ」
あのお嬢様、やっぱり親に泣きついたか。
「秋山さん、菓子折り持って、謝りに行けって訳?」
電話越しに低いため息が聞こえた。
「そうして頂けると助かります。神宮寺製薬は大臣の後ろ盾ですから」
知らなかった。神宮寺製薬とつながりがあったんだ。
「母のパトロンって訳ね」
「神宮寺さんは大切な支援者の一人です。とにかくお願いしますよ」
「嫌よ」
「妃奈子さん」
叱るような声がスマホ越しに響いた。
「あんな我がままお嬢様に絶対に頭下げない」
「三田村君が板挟みになりますよ」
うっ……。
三田村君の事を言われると弱い。
「神宮寺綾子さんが三田村君の元許嫁だから?」
「そうです」
「認めたわね。秋山さん。三田村君は三友の御曹司なんでしょ? 三田村幸蔵に近づく為に私と三田村君をくっつけようとしていないわよね?」
意表を突いたのか、沈着冷静な秋山さんが珍しく「それは」と口ごもる。
それは何? やっぱり母の意図があったの? と矢継ぎ早に質問すると、「そんな事はありません」と秋山さんは否定したが怪しい。
「まさか脅迫状も嘘?」
「妃奈子さん、考え過ぎです。そんな事は絶対にありませんから」
「じゃあ、倉田浩介って何者? どうして彼の事を私に言ってはいけないの?」
「三田村君から聞いたんですか?」
低い声で秋山さんが言った。
マズイ。三田村君が私に告げ口をしたと思われる。
「いえ。違うわ。秋山さんと三田村君が話していたのを立ち聞きしていたのよ」
「そうですか」
怒ったような秋山さんの声だ。
「三田村君は関係ないわよ。彼を叱らないで」
プツリと電話が切れた。
余計な事を言ってしまったかもしれない。
「妃奈子さん、神宮寺綾子さんに何をしたんですか? 謝罪しろって凄い勢いでクレームが来ましたよ」
あのお嬢様、やっぱり親に泣きついたか。
「秋山さん、菓子折り持って、謝りに行けって訳?」
電話越しに低いため息が聞こえた。
「そうして頂けると助かります。神宮寺製薬は大臣の後ろ盾ですから」
知らなかった。神宮寺製薬とつながりがあったんだ。
「母のパトロンって訳ね」
「神宮寺さんは大切な支援者の一人です。とにかくお願いしますよ」
「嫌よ」
「妃奈子さん」
叱るような声がスマホ越しに響いた。
「あんな我がままお嬢様に絶対に頭下げない」
「三田村君が板挟みになりますよ」
うっ……。
三田村君の事を言われると弱い。
「神宮寺綾子さんが三田村君の元許嫁だから?」
「そうです」
「認めたわね。秋山さん。三田村君は三友の御曹司なんでしょ? 三田村幸蔵に近づく為に私と三田村君をくっつけようとしていないわよね?」
意表を突いたのか、沈着冷静な秋山さんが珍しく「それは」と口ごもる。
それは何? やっぱり母の意図があったの? と矢継ぎ早に質問すると、「そんな事はありません」と秋山さんは否定したが怪しい。
「まさか脅迫状も嘘?」
「妃奈子さん、考え過ぎです。そんな事は絶対にありませんから」
「じゃあ、倉田浩介って何者? どうして彼の事を私に言ってはいけないの?」
「三田村君から聞いたんですか?」
低い声で秋山さんが言った。
マズイ。三田村君が私に告げ口をしたと思われる。
「いえ。違うわ。秋山さんと三田村君が話していたのを立ち聞きしていたのよ」
「そうですか」
怒ったような秋山さんの声だ。
「三田村君は関係ないわよ。彼を叱らないで」
プツリと電話が切れた。
余計な事を言ってしまったかもしれない。