私のボディーガード君
「神宮寺社長、この間とおっしゃっている事が違いますが、どうされたのですか?」

秋山さんが聞いた。

「秋山さん、申し訳なかっです。綾子の話をよく聞いてみれば、綾子から佐伯先生の所に押しかけて、佐伯先生のボディーガードをしている勇人君を辞めさせろと詰め寄ったとか。綾子には勇人君と婚約を解消した時にもう二度と勇人君と関わる事を禁止しておりました。それを破ったとは知らず、私は綾子が一方的に佐伯先生に侮辱されたのだと思ってしまい、検討違いな抗議をしてしまった。本当に申し訳ございません」

申し訳なさそうに社長が頭を下げた。

「誤解が解けて良かったです」

秋山さんがほっとしたような笑みを浮かべた。

「今回は脅迫状の事でも佐伯大臣にご迷惑をおかけしているのに、本当にすみません」

脅迫状の事?

「くれぐれもあの事は表沙汰にならないようにお願いします」

さらに社長がテーブルに手をついて頭を下げた。それに倣うように綾子さんも頭を下げる。

あの事って何? なんで脅迫状の事を社長が知っているの?

「本当にすみませんでした。佐伯先生」

綾子さんが頭を下げたまま言った。

「私が間違っていました。もう勇人様の事で口出しはしませんので、お許し下さい」

綾子さんの豹変ぶりについていけない。あんなに三田村君に執着していたのに、何があったんだろう?

それに今回の脅迫事件に神宮寺製薬はどう関わっているの?

頭の中が疑問でいっぱいになる。
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