私のボディーガード君
若林さんとは研究所で別れて、三田村君の車に乗った。

三田村君は運転しながら倉田浩介についてわかった事を話してくれた。倉田浩介は発売後のチャイルドの薬のデータを管理する仕事をしていて、会社をクビになる直前、上司と揉めていたらしい。そして、その揉めた上司と今から会うそう。

その上司は高橋と言って、今は神宮寺製薬を辞めて、中禅寺湖の近くにあるホテルで働いているそうだ。

「倉田浩介が神宮寺製薬をクビになったのは22年前なんでしょ? よくそこまでわかったわね」

三田村君の調査能力に感心する。私がわかった事と言えばチャイルドが五年前に発売中止になった事ぐらい。これぐらいの情報はちょっと調べればすぐにわかる。

「昨日、神宮寺製薬で教えてもらったんです。それからチャイルドですが、やはり問題があったようです。治験では出て来なかった副作用が発売後に出て来たようで、その事を神宮寺製薬は隠そうとしているみたいです」

「副作用って、どんな?」
「深刻な副作用らしいですが、具体的な事はまだわかりません。これから会う高橋さんが知っていると思いますが」

深刻な副作用……。

抗がん剤は健康な細胞も攻撃してしまうから、重篤な副作用が出るものもあるけど、神宮寺製薬が隠したい程の深刻な副作用とは一体、どんな症状なんだろう?
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