私のボディーガード君
 私の理想の男性は光源氏。

 帝の第二皇子という高い身分として生まれるも、3歳で母が亡くなった事で後ろ盾を失った光源氏は臣下に下され、帝になる機会を奪われてしまう。そんな光源氏は不幸な生い立ちと言える。だけど、それでも腐る事なく、臣下に下った事を受け入れ、自分の人生を切り拓いた光源氏は気持ちが強くて素敵な人だ。

 ――マザコン男がいいなんて、変わった趣味ですね。

 今朝の男の発言が過って、イラッとする。
 赤信号で思わず強めにブレーキを踏んでしまった。

 助手席の友美が前のめりになる。

「ちょっと、安全運転してよ」
「ごめん。考え事をしていて」

 あははと笑って、青信号でアクセルを踏んだ。
 容姿は良かったけど、あの男に会うのは気が重い。またイラっとする事を言うはずだ。

 でも、男の言う事が本当なら私の男性アレルギーを治せる唯一の人かもしれない。

 だけど、男が言った事が嘘だったら?
 希望を持って裏切られるのはもうこりごり。これ以上傷つきたくない。

「大丈夫だよ。なるようになるからさ」

 友美が私の不安を感じ取って言ってくれた。
 イケメン目的でも友美についてきてもらえたのは心強い。隣に友美がいてくれて良かった。
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