私のボディーガード君
「ひな、それって凄いじゃない。その人には男性アレルギーが発症しなかったって事でしょ? 絶対に見つけなきゃダメだよ」
「男性に見えたけど、女性かも」
「へっ」
「前に性別は女性だけど、自己認識は男性の人に会った時の事を話したでしょ?」
「ああ、トランスジェンダーの人だっけ」
「うん。見た目が男性でもトランスジェンダーの人に触れた時は大丈夫だったの。きっと今朝の男もそう。男性に見えたけど、生物学的な性別は女性だったのかも。色白で小顔だったし、顔立ちも女性っぽかった気がする」
「身長は?」

 黒コート姿のスラッとした男の立ち姿を思い出す。
 寝室のクローゼットの上の方に頭があったから高身長だ。

「……180㎝ぐらいはありそうだった」
「肩幅は?」
「広かったかな」
「喉仏は?」
 質問に笑ってしまう。
「そこまで見てないよ」
「女性だと決めつけるのは早いんじゃない。ひな、帰りはタクシー使ったの?」
「多分。いつものように花里さんに女性ドライバーのタクシーを手配してもらった気がする」
 友美の目がキラキラと輝きだした。

「それだ! タクシードライバーに聞こう」

 友美に手を強く引っ張られて、もう一度花里さんに話を聞きに行った。
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