私のボディーガード君
「佐伯先生、意見してもよろしいでしょうか?」

コーヒー色の瞳に見つめられ、空腹の胃がキュッと締め付けられる。こういう時は絶対に耳の痛い事を言われる時だ。

「どうぞ」
「三田村に負担をかけ過ぎではないですか? ご実家にお戻りになれば夜の警護がなくなるので三田村の負担も昼だけの警護になります」

確かに。それはそうかもしれない……。
だけど、実家には戻りたくない。母と暮らせば操り人形のように私を操作しようとする。それがストレスだから帰らないようにしている。

第一、狙われる事になったのは私の責任じゃないのに。こっちは母の脅迫のとばっちりを受けているのに、なんで自分の生活を変えなきゃいけないの?

「もしかして三田村に下心がありますか?」

反論しようとしたら、さらに爆弾を投下された。

「あの通り、三田村は容姿がいいですから、現役SPの頃から女性に人気がありました。これは佐伯先生の為に言いますが、三田村に好意を寄せても無駄です。三田村には好きな人がいますから。人気女優やモデルからも三田村は言い寄られていましたが、好きな人がいると言って断って来たんです」

三田村君に好きな人がいる……。
胸がズキッとする。

「では、本日は失礼します」

若林さんが出て行った。
言い返す事もできない程、落ち込んだ。

気を抜くと泣きそう。

三田村君に好きな人がいるかなんて私には関係ないのに、なんで落ち込むの?
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