私のボディーガード君
次の日も実家に泊まった。若林さんの言葉を聞いて、三田村君の顔を見るのが怖くなったから、自分から実家に泊まると言い出した。

若林さんは自分の忠告を聞いてもらえたと思ったようで、2日目は私に苦言を言ってくる事なく、実家に私を送り届けると機嫌良さそうに帰って行った。

二階の自室に行くと力が抜けた。
ダブルベッドに倒れ込むと、柔軟剤のいい香りがする。吉野さんが洗い立ての物と交換してくれたのかな。

スマホを見ると三田村君から「お疲れ様です。承知しました」というメッセージが返って来ていた。大学を出る時に今夜も実家に泊まると連絡してあった。

三田村君と最後に会ったのは昨日の朝。
もう丸一日会っていない。この二週間ずっと一緒だったから顔を合わせない事が寂しい。

そう思うのは、三田村君に依存しているからかも。

三田村君が傍にいる事を当たり前の事だと思っていたけど、三田村君が私の傍にいてくれるのは仕事だからだ。三田村君は家族じゃないし、友達でもない。

もしかしたら、三田村君は私の事を馴れ馴れしい奴だと思って迷惑に思っているかもしれない。

若林さんが私に三田村君に負担をかけ過ぎだと言ったのも、三田村君から夜ぐらいは解放されたいと聞いたからかも。

三田村君は優しいから私に何も言えなかったんだ。

そう思ったら、三田村君に合わせる顔がない。
今まで三田村君にいっぱい気を遣わせていたのかもしれない。

ちゃんと話し合わないと。
三田村君がどうしたいか聞いて、夜の警護が負担になると言ったら、実家に戻る事も本気で考えなければ。

はあ……。

昨日からずっと胸の辺りが重苦しい。まるで鉛を飲み込んでしまったみたい。

明日の夜は三田村君と暮らす家に帰る予定だけど、どんな顔をして会えばいいんだろう。
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