幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
「めぇちゃん! めーちゃん!」

 明依と会うなり顔を輝かせて、呼ぶので、秋服のかわいい柄入りブラウスとロングスカート姿の明依は、とても嬉しそうな顔になってしまった。

「ひろくぅん! 久しぶりだねぇ!」

 明依の腕に移った洋斗は、すぐ明依にぎゅっとしがみつく。明依は洋斗を抱えて感じられた体重に、驚いたようだった。

「わぁ! すごく重たくなった! 大きくなったねぇ!」

 そんなふうに明るく迎えてもらって、あたたかな感情を感じながら、沙也は「じゃあ、お願いするね」と一人で出てきた。

 今日はせっかく一人で出掛けるので、普段は行けないところにも行こうかな、と思っていて、送り迎えは断っていた。

 普段は香々見家の車をお願いすることが多いけれど、エステサロンもそう遠いところではない。だから「少しお買い物をしたいし、一人で参ります」と言ってきた次第。

 服も少しかわいいものをチョイスした。チェック柄のワンピースに、ウエストをリボンで結ぶニットのコートだ。秋にぴったりの雰囲気である。

 明依の家の最寄り駅、つまり自分がこのあたりに住んでいた頃の最寄り駅になるわけだが、そこの駅にすぐ着いて、電車に乗り込んだ。
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