迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
今日は仕事帰りに、理子と食事の約束をしている。
玲也は今朝も私より先に家を出てしまっていたので、テーブルに書き置きをしておいた。
夕食は冷蔵庫に入れてあり、温めるだけにしてあること、そして友人と食事に行くので遅くなることをメモに書いて残してきたのだ。
それにしても玲也は、経営者と言っていたが、朝も早くから出社して忙しそうである。
ここは会社からほど近い居酒屋。
しかし、料理が美味しいと評判で、予約をしないと入れない人気店なのだ。
そのため、唯は一か月程前から予約してあったお店なのだ。
そう、実はこのお店は元彼の直人と来る予定だったのだ。
まさか、こんな事が起こるなんて予想もしていなかったので、直人には予約が取れたことを内緒にしており、サプライズで連れて行こうと思っていたのだ。
今になってみれば、直人に言ってなかったことが良かったのだ。
理子に話をしたら、喜んで自分が行きたいと言ってくれたので、今日は二人で食事となったのだ。
「唯のお陰でこの店に来れたよ、カンパーイ!」
理子は運ばれたビールを持ち上げて、嬉しそうに話し出した。
「う…うん。でも、不思議といろいろ事件が有り過ぎて、直人に振られたことも、もうそんなに引きずってないかな…今日は飲もう!カンパーイ!」
本来であれば、直人との別れで落ち込んでいるはずだが、蓮や玲也との出会いが気持ちの上書きしてくれてえいるようだった。
直人をまだ完全に忘れたわけでは無いけれど、なぜか許せる気持ちになっているのだ。
美味しい料理に舌鼓。
当然お酒もグイグイと進んでしまう。
このお店オリジナルのチューハイや果実酒もたまらなく美味しい。
理子は私を気づかってか、直人の話題には触れずに居てくれている。
親友の優しさに感謝だ。
しかし、玲也のことは興味津々のようだ。
「ねぇ唯、玲也さんはどこの会社の経営者なの?ちゃんと聞いたの?」
「う…ん、でも、あまり言いたくないみたいだし…それに、そのうち分かるって言ってくれたから、いろいろ探るのは辞めようと思うんだ。」
理子は少し納得いかない顔をしていた。