捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「わかんないけどねー。やっぱ無理って思ったらぱぱっと祓うのもありかと」
「祓うの前提で話をしないでぇぇ! ええと、私の名前はゼルマ、ゼルマよ。生きていた頃はそう呼ばれていたわ」
 祓われてはたまったものではないと思ったのだろう。幽霊は慌てて名乗る。
 生前はゼルマという名前で、この家は彼女が買ったものだったそうだ。
「小金持っていたのよねー、生前はねー」
 そのお金も、彼女を殺した恋人が持って行ってしまったそうだ。というか、殺された過去があるわりにずいぶんあっさりとしている。
「恨むより、未来を見た方が楽しいものね」
 と、ゼルマ。思いきりがよすぎである。幽霊に未来があるかどうかはわからないけれど。
「じゃあ、シェアハウスするってことでどうかしら?」
「よろしく――ええと」
「私、イオレッタ。精霊使いよ、よろしくね」
 ゼルマの方に手を差し出すと、彼女も手を差し出してくる。彼女との同居生活はきっと楽しいだろうと思った。
 
 * * *
 
「――おかしいだろあいつっ!」
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