捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 気まずくなったクライヴは、咳払いでごまかそうとする。
 イオレッタのことが気になっていないと言えば嘘になる。冒険者仲間としてではなく、一人の女性として気になっている。
 今まで身の回りにいなかったタイプでもあるし。
けれど、彼女にも事情がある以上、クライヴの方からうかつに踏み込むつもりはなかった。
 クライヴの方にも、踏み込まれたくない事情というものは存在する。
 たぶん、マーガレットはそのあたりのことに目ざとく気付いているのだろう。人の心の機微に敏感でなければ、彼女の仕事は務まらない。それでも、二人の背中を押したいという願望がちらちらとしている。
「そりゃ、な」
「お願いしていい? 新人冒険者達は全員依頼を片付けに出て行ったしね」
 組合からイオレッタの家にいく程度ならば、仕事として依頼を出すほどのことでもないのもまた事実。
 となれば、個人的な頼みとして受け入れてもいい。
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