捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「難しい話じゃないのよ? 無償奉仕を強いられているわけでもないし。イオレッタが言うには、一緒に暮らすのなら家族みたいなものなんだから、お互いお手伝いはしましょうねってこと。私は手伝ってもらうことなんてほとんどないんだけど」
 げらげらと笑いながら、ゼルマは先に立って中へと案内してくれる。ずいぶんと陽気な幽霊だ。
いや、その片鱗は以前からあった。自分を殺した相手についても、あんなにもけろりとしていたではないか。
「楽しそうだな」
 思わずぽつりと漏れた。悪い意味ではなく、いい意味で。
 どこからどう見ても立派な幽霊屋敷だったこの家も、今は活気を取り戻している。
 入った時は埃まみれだった部屋も、今は綺麗に片付けられている。玄関を入ったところには小さな台。そこには花瓶があって、綺麗な花がいけられている。
 入って左手にはイオレッタの上着がかけられている。奥の方からは、煮込みを作っているらしいいい香りまでしてきた。
「イオレッタ、クライヴさんが来たわよー」
「はーい」
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