捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 巨大化したセルヴィハの脚に剣を右から左から叩きつけているものの、鈍い音がするだけ。
 まったく意味をなしていない。おそらく名剣なのだろうけれど、セルヴィハに傷一つ負わせることができていない。
「この――っ!」
「そこまでです。セルヴィハが鷹揚にかまえているからいいものの、下手をしたらこのあたり一面火の海になっていますよ」
 なおも剣を振り回すエグバートを、背後に忍び寄ったタデウスが羽交い絞めにする。なんとも締まらない光景だ。
「吾輩はもう少し考えてから行動するぞ? 火の海にするはずないだろう」
 考えなしにあたりに火事を起こす魔物と一緒くたにされたセルヴィハは不満そうである。慌ててクライヴとレオニードがセルヴィハを宥めにかかる。
 その光景もまた、エグバートの怒りに油を注いだようだった。タデウスの腕を無理やり解いたかと思ったら、クライヴに向かって剣を振り上げる。
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