捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 エグバートの振り下ろした剣をやすやすと自分の剣で受け止めたクライヴは、そのまま勢いよく振り上げた。エグバートの手を離れた剣が、空高く舞い上がる。
 キラッと刀身が沈みゆく太陽の最後の光を反射して輝いた次の瞬間、乾いた音を立てて地面に落ちた。
「ここまでだ、兄上。セルヴィハを倒すことなど、不可能だ」
「吾輩は、全知全能のドラゴンだからな!」
 長い首をそらせてセルヴィハが哄笑する。
 せっかくクライヴがエグバートを説得しているのに、台無しだ。たしかに、セルヴィハはすさまじいまでの能力を持っているが、全知全能は言い過ぎである。
「セルヴィハは、この国を守ってもいいと言ってくれているんだ。ドラゴンを紋章に抱いている国の王族が、人の言葉を解し、人と共にあろうとするドラゴンを抹殺してどうしようというんだ?」
「うるさい、うるさい、うるさい!」
 クライヴの言葉も、きっとエグバートの耳には届いていない。わめく言葉も、まるで子供みたいだ。
「殿下! こちらにいらしたのですか!」
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