捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 なんでも彼の話によると、イオレッタは行方不明になったらしい。秘密裏に捜していたところ、クライヴと一緒にいたのをたまたま発見したというのだ。
「なんと。伯爵家の後継者を誘拐したというのか?」
「はい、恐れながら」
 イオレッタはベルライン家の後継者として、ふさわしい有能な精霊使いであるらしい。
 優秀な精霊使いを我がものにしようとしたクライヴは、イオレッタをそそのかして行動を共にしているらしい。
「おそらく、娘は殿下の素性も知らずに連れ出されたのでございましょう――冒険者として働いているようで、粗末な衣服を」
 娘が落ちぶれた姿を思い出したのか、伯爵はハンカチを目に当てた。エグバートもまた思わず拳を握りしめる。
「なんて非道な! わが弟ながら鬼畜の所業と言う他はあるまい」
 貴族令嬢に、冒険者としての生活を強いる。
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