捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 荷物を運ぶ商人の護衛として出かけていくのは珍しい話ではない。イオレッタは唇を噛んだ。
「どうかしたの?」
「契約している精霊はともかく、それ以外の精霊の存在が感じられなくて――その、他の精霊使いさん達はどうかなって聞きたかったんです」
「そうねえ……セルヴィハさんは? ドラゴンと精霊って仲良しなんでしょう?」
「あ、そうでした! セルヴィハさんのこと忘れてた!」
 先日、あやうく討伐されそうになったセルヴィハは、エグバートがまた来たら面倒だと今はあたりをふらふらしている。
 クライヴの住処で世話になっていると聞いているから、そちらに回ってみよう。
 クライヴ達は、イオレッタの家から十分ほど歩いた場所にある一軒家で共同生活を送っている。高級住宅街と庶民の住宅街のちょうど境目当たり。比較的治安のいい場所だ。
 以前はなんとも思わなかったけれど、彼が王族だと知ってみるとこの場所に屋敷を構えた理由も何となくわかってきた。いざという時、守りやすく逃げやすい場所。
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