捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 精霊寄せの香とはいったいどんなものなのだろう。と、玄関で立ち話をしていたのが、クライヴが横にずれた。
「長い話になりそうだ。とりあえず入ってくれ。俺は二人を起こしてくる」
 徹夜仕事明けで朝になって寝たのを起こしてしまった――と申し訳なく思いながらも、イオレッタは中に足を踏み入れた。
 テーブルの上に使いっぱなしの食器が出されているということもなく、床はきちんと掃き清められている。
 いったい誰がここを掃除しているのだろう。前は疑問にすら思わなかったけれど、クライヴの正体を知ってしまったら、ついそんな疑問も浮かんでしまう。
 いったん姿を消したクライヴが戻ってきた時には、ぼさぼさだった髪はきちんと整えられていた。前髪が濡れているのは、急いで顔を洗ったのかもしれない。
 少し眠そうな以外は普段と変わりないタデウスとレオニードも階下に降りてきた。
「セルヴィハ、精霊寄せの香というのは?」
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