捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 組合の方には一応話をしておいて、すぐに精霊の後を追って家を出る。街を出て、すぐの草原に入ると、セルヴィハは姿をドラゴンへと変化させた。
「移動の時間がもったいない。お前ら、全員乗れ」
「落ちません?」
「背中に結界を張ってやる。吾輩をあまり舐めてもらっては困るぞ、イオレッタよ」
 セルヴィハがそう言うのなら、問題ないのだろう。
 低い体勢になったセルヴィハにクライヴが先頭になって乗り込み、イオレッタを引っ張り上げてくれる。タデウスとレオニードが二人並んで最後尾についたかと思ったら、セルヴィハは翼を広げた。
「わあああっ!」
 思わず色気のない悲鳴があがる。急上昇したものだから、身体ががくんと揺れた。イオレッタの腰に手が回される。誰のものかと思ったら、クライヴの手だった。
「ひぇ、あの」
「しばらく我慢してくれ。落ちるよりいいだろ」
「いえいえいえいえ、そういうわけじゃないんですけどっ!」
 クライヴとこんなに距離が近かったことがあるだろうか。
 頭に一気に血が上る。
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