捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
「どうするつもりと言われても。我々はただ、スィア湖のところで新しい精霊と契約をしようと思っただけです。わが領地の精霊は、姿を消してしまったので――これは、エグバート殿下からいただきました」
 まったく悪びれていないベルライン伯爵の様子に、イオレッタは頭を抱え込みたくなってしまった。エグバートとベルライン家の間にどのようなつながりがあるのかはわからないけれど、まさかこんなことになるなんて。
「イオレッタ、ずいぶん乱暴な手を使うじゃないか。殿下、義父を離してはもらえませんか?」
 この状況をわかっているのかいないのか、トラヴィスはクライヴとイオレッタの間に割って入った。
 イオレッタの目には、たくさんの精霊の姿が映っていた。こんなにたくさんの精霊が一度に集まっているのを見るのは、初めてのことだった。
 けれど、皆、ふらふらと左右に飛んでいて様子がおかしい。
『毒、あれ、毒……』
 耳元でソムの声がする。
(……毒?)
 精霊神の誕生を祝う精霊達も、こんなに押し合いへし合いしていなかった。
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