捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 クライヴが伯爵に向かって叫ぶ。香炉を抱えた伯爵を殴り飛ばすと、クライヴは香炉の中身を湖に投げ捨てた。
 じゅっと音がして、火が消える。
(……でも、精霊達はまだ落ち着いてない……!)
 香りがなくなったところで、精霊達はすぐに影響から抜け出せるというわけでもないようだ。そして、それは精霊神も同じようだった。
 風が激しく吹き荒れ、湖の水が竜巻のように巻き上げられる。
「精霊神様、話を聞いて!」
 イオレッタの声は、届いていないのだろうか。
 一歩、前に踏み出した時、風で煽られた木の枝が折れた。こちらに向かって飛んでくる。
『マカセテ!』
 精霊神の風に負けない様にフェオンの風が吹き荒れる。
『もー、怒ったんだから! アルディ、行くわよ。ソム、あんたはイオレッタの側にいなさいっ』
 飛び出していったのは、シロクマとハリネズミ。
「無茶はしないで!」
 たぶん、精霊神をもとに戻さなければ、この風も水もおさまらないのだろう。
「イオレッタ、手を貸せ! セルヴィハ、頼む!」
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