捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 お願い、届いてほしい。このままでは、スィア湖近辺がめちゃくちゃになってしまう。

(……あれ?)
 ふと、気がついた時には、イオレッタの意識は真っ白な世界に飛ばされていた。上も下も右も左もわからないどこまでも広がる真っ白な世界。
(あれ、れ……)
 なんで、こんなところにいるのだろう。ぐるりと周囲を見回してみるけれど、誰もいないのだ。
 音一つしない、静寂の世界。
 イオレッタだけが、隔離されてしまったみたいだ。
 きょろきょろとすると、不意に腕に温かなものが触れた。左腕に捕まっているのは、茶色のハリネズミ。肩の上に緑色の蝶がとまる。
 シロクマが右手首から肩のところまで駆け上ってきて、紫色の蛇がそのあとを追いかけてくる。
 不意に突風が吹き荒れ、イオレッタは目を瞬かせた。イオレッタの前に、ゆらりと大きな精霊
が姿を見せる。
(これが、大精霊の……ううん、精霊神)
 激しく吹き荒れる突風は、この真っ白な世界の中で唯一動いている存在だった。
「精霊神様!」
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