捨てられた令嬢はチートな精霊師となりまして
 イオレッタの周囲には常に、精霊の気配がまとわりついている。本人が言っていたように、周囲の警戒は精霊に任せているのだろう。
「イオレッタが、自分の身を守れることは俺もわかってるんだ。だが、どうしたって、巻き込む形になるだろう?」
「――だね、殿下。だから、俺が次の手を考えるって言ってるでしょう?」
 レオニードが困ったように、唇の片端だけを上げて笑う。
 プラディウム王国第二王子。それが、クライヴの真の身分だ。
 プラディウム王国では、成人前に身分を隠して周辺諸国を旅してまわり、見聞を広める機会を持つという習わしがある。これは王侯貴族においては義務であり、裕福な庶民も同じようにしていることが多い。
 クライヴと共にいるレオニードとタデウスは、クライヴの護衛であるのと同時に、共に見聞を広めている仲間である。
「俺には、野心はないんだけどな」
「エグバート殿下にとっては、あなたは恐ろしい存在なんですよ。騎士達の間でも、あなたを次の王にと望んでいる者は多いのですから」
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