推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ

急接近


 次の日
 芽愛ちゃんは休みだったので、ひとりで社食でランチを食べているとスマホが震える。専務からの連絡だった。
【明日の夜は中番ですよね。帰りは僕に送らせて下さい】そう書いてあった。
 絵文字もスタンプもない、推しからの文章は神々しく愛おしい。ん?帰りは僕に送らせて下さいって、専務の車で帰るの?いや緊張するでしょう。そしてなぜ私のシフトを知っているんですか?職権乱用。
 シフトの神はどこの部署でもひとりはいて、うちのフロントのチーフが神だった。細々とみんなの希望を聞きながら、早番と遅番。そしてたまに早番、中番、遅番シフトを上手に組んでくれている。基本、うちのホテルの女子は早番勤務が多いけど、週に一度ほど午後から出勤で10時半終わりの時があった。
【ありがとうございます。でも申し訳ないので電車で帰るので大丈夫です】
 そう返事を送ると
【終わったら電話下さい】と素早く既読された。
 会話が嚙み合ってない。
【お手数かけるので大丈夫です。ありがとうございます】
 再度送信すると
【では、明日必ず電話下さい】
 その返信は違うでしょう専務。負けるものか。
【申し訳ないのでいいです】
【クビが怖くないんですか?】
 脅された……。何も書き込まずスマホを見つめていると
【では、明日必ず電話待ってます】
 敗北感しかありません私。
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