推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ
 これは【推し】ってことなのだろうか、ぼーっと考えていると目の前に芽愛ちゃんの磨かれた爪が左右に振られた。
「また異次元飛んでる!」
「あっ、ごめんごめん。3時から職員にもお蕎麦サービスの文字を目で追ってたの」
「そうなのよ!今年も希望するお客様にルームサービスあるからそのヘルプもあるんだ。希望者少なかったらいいなぁ」
「でもそのおかげで私たちも食べれるから嬉しいよね」
「お客様に出す品と内容が違うでしょう。あっちは一流のでこっちは社食の品。美味しいから食べるけどさ。だから絶対新年会には出る!そしてダイヤを当てる!」
「だからが繋がってない。芽愛ちゃん意味不明」
 笑いながら時計を気にして私たちはササっと食べて席を立った。さぁこれから歯磨きとメイクを直してまたお仕事頑張ろう。

木戸(きど)さん、早くて助かった」先輩が小声でそう言った。
 今日はアーリーチェックインで早めに入るお客様が多いのだろう。お金に余裕のあるお客様が多いのでチェックインの時間はあまり関係がない。
「今年も社食でお蕎麦が出ますよ」こっそり教えると先輩は嬉しそうな顔をした。お客様に優しく従業員にも優しく。そんなモットーの我がホテル。マナーなど仕事は厳しいが、離職率の多いホテル業界にしては、うちのホテルはそれが少なく働きやすい。働き始めて年末年始はひとりぼっちのアパートだけど、時期をずらして実家に帰ってゆっくりできる。おせちがないのが残念だけど。
 そして新年会。去年のビンゴは高級バスソルトのセットで嬉しかった。今年も無事出席できますように。そして推しの専務を去年より近くで見れますように。ホテルのモブキャラの私ですが、目の保養に楽しみにしております。
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