推しは策士の御曹司【クールな外科医と間違い結婚~私、身代わりなんですが!】スピンオフ
 キラキラシャンデリアの下に立つ専務の存在は、シャンデリアに負けないくらいキラッキラしていた。
 きっとオートクチュールのスーツだろう。身体にフィットしていてスタイルの良さを強調している。スラっとしていて手足が長くて顔が小さい。私が隣に立ったら公開処刑かもしれない。いやいや、そんな恐れ多い。モブは推しに恋してはいけません。尊い存在であるだけです。マイクを持つ専務を見つめてしまう。あぁやっぱり素敵だ。優しい声も優しいまなざしも、整った唇も素敵すぎる。存在してくれてありがとうございます。
「今回だけ特別賞で受け取ってください」
 専務はそう言って小さな黒い箱を無造作に上げる。上質そうなシンプルな黒い箱にBで始まるゴールドっぽい文字は……。
「まさかのここでブルガリ」芽愛ちゃんが必死な顔で私に訴える。会場もザワついている。触ったこともない高級ブランドだ。
「ローマの本店で買えずにすいません。仕事で時間がなくパリのヴァンドーム広場に行く途中で駆け込みました。小ぶりでそんなに高い値段の品ではないので、カジュアルに着けてもらいたいです。女性の方に心を込めて選んだので気に入ってもらえたら嬉しいです。男性の方に当たった場合は大切な人にプレゼント願います」優しい声でそう言って、抽選箱から紙を取り出し柔らかい声で告げた数字は……私の手元にある数字だった。

「外れた……人生終わった」芽愛ちゃんが遠い目をして私を見つめる。私の返事がなくて心ここにおらず状態に眉をひそめ、私はかすかに震える声で「数字が同じ」と芽愛ちゃんに言うと、芽愛ちゃんが「当たった!」と叫び同じテーブルから今日一番の歓声が上がった。
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