絶対にずっと好きだと証明しましょう
「ずっと好きを証明するには、たとえば樹君が他の子を好きになっても浮気しても、もしかして楓ちゃんと別れてほかの子と付き合っちゃっても楓ちゃんはずっと樹君のことを好きでい続けるわけよね。ということは楓ちゃんの方は樹君と別れることになっても他の人と付き合わずに思い続けるってこと? それとも樹君が他の人を選んだらそこでゲームは終わりなの? でもそれじゃあずっと好きってことは証明できないよね。どういう設定なのかしらって」
「そんなの高校生の時の話だろ。それに2人のことで君には関係ないだろう」

ユーゴが咎めると「そっか、そうよね。そんなつもりはもうないよね。樹君を将来ずっと好きでい続けるなんて苦労しそうだしね」とりか子は自分で答えを出してにっこり笑う。

屈託のない笑顔の裏に産毛のような細かい棘がはべっているようで、楓はその棘を吹き飛ばすように宣言した。

「いいえ、私は樹のことこれからもずっと好きです。自信があります。それにゲームじゃないです。条件は決めていないから私にもわかりません」

まるで箇条書きのセリフを棒読みしているような口調になった。
りか子はへえーと感心したような素振りで大きく頷き次の針を放ってきた。

「熱帯植物館の帰りはやっぱりシャワーを浴びた? 2人とも同じシャンプーの匂いがする」

りか子はまたにっこり笑って熱帯植物館のチケットを楓に返した。
やっぱり? やっぱり、そういうことなのか。
照明の光にさらされて、切れそうで切れないりか子と樹の糸が、いやりか子が放そうとしない樹につないだ糸が楓には見えるようだった。

ふんと樹が鼻で笑った。

「なんか胸焼けしてきた。楓、帰ろう。ホテルに」

そういうと樹は席を立ち、楓を待たずに出口に向かった。

「え、ちょっと。あ、すみません、ユーゴさんご馳走様です」

楓も慌てて席を立ち、もう店の扉を押している樹を追いかけた。
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