Cherry Blossoms〜思惑の交差点〜

「お腹空いた〜！あそこの屋台で何か食べようよ〜！」

「もうすぐイベント終わりだから、最後にあそこ行きたい！」

賑やかな声が、笑顔が、桜士とヨハンの近くを通り過ぎて行く。そんな中、桜士は腕時計で時間を確認する。いつの間にか九時前に針は進んでいた。

「そろそろか」

ヨハンが警戒した目を向け、桜士は口を閉ざしたまま首を縦に振る。桜士が見ている中、長針がゆっくりと九時を指す。その時だった。

桜士とヨハンの背後で大きな轟音が聞こえた。刹那、二人の体は熱い風に吹き飛ばされる。

「な、何だ！？」

桜士とヨハンが振り返ると、イベントのために設置されたステージが燃え上がっていた。刹那、イベントに来ていた人たちが悲鳴を上げる。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！」

「何、何が起きてるの！？」

パニックになった人々は、我先にと逃げ出して行く。そんな中、桜士とヨハンはあることに気付いた。

（まずい！怪我人がいる！）