Cherry Blossoms〜思惑の交差点〜
「何迷ってんだ!お前がやるべきことは一つ!一花を助けるために電車に乗れ!」

ヨハンはそれだけを言うと、一番重症度の高い患者の処置を始めていく。患者の数は多い。だがーーー。

「ヨハン、ありがとう」

桜士はそう言い、ヨハンに背を向けて走り出す。怪我人は十人近くいる。だが、ここよりももっと過酷な環境である戦場で大勢の人の命を治療しているヨハンなら大丈夫だと信じ、ただ前を向いて走る。

駅に着くとすぐに切符を買い、電車に乗る。電車に揺られながら、桜士は大きく息を吐き、一花が捕えられている目的地のことを考える。人の命を何とも思わない人間が集まってできた組織だ。命を懸けた奪還戦になるだろう。だが、桜士に恐怖などはない。

「絶対に取り戻す!この命に代えても!」

そう言った桜士の目には、迷いは一切なかった。



一花に与えられる飲み物や食べ物には、彼女が逃げ出さないように睡眠薬が仕込まれているものもある。
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