【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─

10【転生ヒロイン】ブリジット

どうしてなんだろ?
このゲームで一番の推しだった王太子のリシャールには近付けない。
彼の側近のドミニクと護衛のアンドレにも。

あたしのお世話役をしてくれたからリシャールとは懇意になるのに、そのお役目からも彼は逃げた。
それも自分の代わりをクロエなんかに、頼んじゃって!


「リシャール殿下があたしの面倒を見てくれないから、指導してください!」

もぉ、腹が立つから学院長室へ殴り込みみたいに突撃したら、『王族と平民の交流』とか言ってた学院長は掌を返した。


「そ、それなんだが、殿下からご提案があって……」

リシャールからは、女生徒の世話役は同性にさせるべきで『平民との交流』を謳うならば、将来の王妃であるモンテール侯爵令嬢ほど、それに適した人物は居ない、とか丸め込まれちゃっててさ……

王族だって、ここじゃー生徒なのにさ、言うこと聞くってさー。
ホントにこのオヤジ頼りねーな!


そう言われても、当然あたしは悪役令嬢とはよろしくするつもりなんかないから、クロエから逃げまくってたんだけど、ある日考えを改めた。
『交流する』から、『苛めが発生する』んだよね。

リシャールは生徒会長だから、それを知らん顔出来ないはずだよ。
ゲームのキャラ設定の正義感の強い王子、なら。


そう思って、クロエが話しかけてきても逃げるのはやめて、相手をしてやることにしたのだった。
案の定、うるさく細かいことを指摘してくる。
婚約者がいる異性とは、必要以上に親しくしないように、とかさ。
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