【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─

14【王太子】リシャール

予定より2日早く、帰国した。
取りあえず隣国が準備してくれていた行事には全部参加して、失礼がないようにしてきたのに、国王陛下からは殴られ、俺は大いに減点された。

俺が急いで帰国したくて、体調不良を理由にして直前にキャンセルした行事は母国の大使館で行われる王太子使節団さよならパーティーだったから、身内だし大して問題にはならないと判断したのに、それが国王陛下の逆鱗に触れた。


『恥知らずにも臣下に嘘をつき、心尽くしの宴を開こうとしてくれた自国の民を大切に出来ない王族を、誰が支えると言うのだ』と。


臣下あっての王家だと、頬の痛みと共に諭されて。 
自分の驕りと至らなさに後悔したけれど。

俺は公私混同甚だしい馬鹿な王子です、すみません……


こんな疑いは持ってはいけないのだが、国に置いてきたクロエが心配で……
それもこれもエイドリアン・ブリュロワールのせいだ。


エイドリアンは俺の叔父だ。
前国王陛下の公的には認めてられていない女性が生んだ庶子で、現国王陛下の異母弟。
王位継承権は第4位。
本当はそういった庶子には継承権なんか無いのだが。
亡くなる前に、祖父は息子である国王陛下に頭を下げて頼んだのだ。

『エイドリアンが望めば、王族として遇してやって欲しい』
< 48 / 71 >

この作品をシェア

pagetop