【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
同じ男性として思うところがあったのか、国王陛下は国外に人をやり、現地でのエイドリアンの行状を調べた後に、それを受け入れた。

母親は産後の肥立ちが悪く儚くなってしまったが、愛息子は彼女の兄夫婦の実子として育てられた。
他国にも店舗を抱える大商会の跡取りとして、国外で育てられていたが悋気の激しい王太后が亡くなったので、昨年帰国した。


叔父と甥の俺達は同い年で。
素直に友人にはなれない顔見知り程度の関係だった。
エイドリアンは俺が甥であると知っていることに気付いていない。
ついでに自分の気持ちにも気付いていなければいいのに、と思う。

俺が外遊で学院を公欠している間にクロエとの間が近付いたらどうしよう、そればかりが気になって、外交が終了した途端に帰りたくなったのだ。



もし。
エイドリアンがクロエを欲したら。
彼女の身分と釣り合うようにと、今は全然興味がない王弟の地位を意識するかもしれない。
そうなると俺は、恋と王位の両方でアドリアンと競わなくてはならないかも。
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