【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
ビグロー商会は、ウチとは規模は全然違うけれど、王都では商売敵と言っていい存在だ。
これは、そこの娘がハニートラップ仕掛けてきてるのか?
こちらからは何もする気はなかったが、調べて怪しかったら、ビグロー商会を潰すか……



幸いなことにビグローとはクラスが離れたが、クロエ様の校内案内は一緒に受けることになった。
ところがビグローは、約束の時間になってもやって来ない。
校内案内は最初の1週間の昼休みのみ、なのにな。


「時間もありませんし、ビグローさん無しで私とふたりですが、よろしいでしょうか?」

「勿論です!」

クロエ様と、1対1で。
案内してもらえるなんて全然いい!
だが、並んで歩き出した俺達に混ざってくる奴等が居る。


「クロエ、校内案内してるの?
 お疲れ様、私も手が空いているから一緒に」

なんて言いながら、毎日合流してくる王太子リシャール殿下と側近と護衛の、3名……暇か。


「エイドリアン・ブリュロワールだったね、私もいいかな?」

「勿論です!」

俺に、これ以外の返事が言えるわけない。
王太子殿下の、婚約者に対する執着がキツいのは有名だからな。
俺は目立たず静かに順当に卒業、がモットーだから、大人しくしておくさ。



「ブリュロワール商会で、クロエはドレスを仕立てるんだってね?
 出来映えが見事なら、王妃陛下や王女にも推薦するからね。
 心して製作に当たるようにね?」

これは一種の圧……牽制されてるな。
こっちは平民だからな?

ご心配されなくても、王太子殿下のご婚約者に横恋慕なんてしませんよ……
< 47 / 71 >

この作品をシェア

pagetop