再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
救急外来の待合に尊人と並んで座り、10分ほど待った。
徹が来てくれるって言われて待っている以上催促もできず、じりじりしながら時計を見ていた。
そして、

「お待たせ」
現れたのは白衣を着た徹。

「ねえ母さんは、大丈夫なの?」
咄嗟に立ちあがり、私は徹のもとに歩み寄った。

「ああ、大丈夫だ。意識は戻ったし、今の所後遺症も見られない」
「そう、よかった」
ホッとしたからだろうか、私は体の力が抜けその場に崩れ落ちそうになった。

「おい、しっかりしろ」
そんな私を徹が支えてくれる。
「ごめん、大丈夫だから」
私は徹の手を避けて、凛人たちが座る待合の椅子に腰かけた。

「それで、原因は何だったんですか?」
私のすぐ隣から聞こえてきた尊人の声。

「え?」
徹が驚いた様に視線を向ける。

この瞬間、二人の視線がぶつかり火花がが散ったような気がした。
考えてみれば徹は尊人のことを何も知らないし、尊人も凛人の父親で私の恋人として徹のことを認識している。
これって、ある意味修羅場ってことだろう。
< 146 / 167 >

この作品をシェア

pagetop