再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~
「今の両親は俺のことをとても大切に育ててくれたんだ。当時一歳だった勇人と分け隔てなく育ててもらったよ」

今凛人を育てているからこそ、子育てがどんなに大変かは私にもわかる。
人を一人育てるって、口で言うほど簡単ではないもの。

「もちろん俺自身も両親には感謝していた。だから、あまりわがままを言った記憶もないし、怒られることもなかった。そういう意味ではいい子だったと思うよ」

それは、尊人さん自身がご両親に気を使っていたってことだろうと思う。
子供は何もわかっていないように見えて、色々なことをよく理解しているから。

「そんな時、ちょうど俺が6歳で弟が4歳になった夏休みに、両親がキャンプに連れて行ってくれたんだ。普段忙しい親父と出かけるのは本当に珍しくて俺と弟も大喜びだった。もちろん楽しかったよ。魚を釣ったり、野山を走りまわったり、でも、ふと思ったんだ。このまま俺がいなくなれば、両親は悲しんでくれるのかなってね」
「え?」
驚いて私は尊人さんを見つめた。

「バカげているだろ?でもその時の俺は理由もなく一人で山に入って行った」
「それで、どうなったんですか?」

子供が姿を消せば親は必死になって探すだろう。
この時の私は、もし凛人がいなくなったらと想像して身震いがした。
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