あの日ふたりは夢を描いた
仕事もレッスンもない日が一日あり、彼女に連絡を入れた。

『一緒に花火をしようか』

つらいとき、一番に会いたくなるのは彼女だった。
夏の思い出を一緒に作りたかった。

家に彼女を呼び、母さんへの紹介もほどほどに花火を始めた。

やばい、花火ってこんなに楽しかったっけ……

花火を両手に持ち、子供がするみたいに空中に絵を描きはしゃいだ。

暗闇の中、ぱちぱちはじける花火とそれに照らされる彼女の笑顔。

これ以上の組み合わせなんてないんじゃないかと思った。
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