あの日ふたりは夢を描いた
『僕も好きさ。きみのことが。

……もう、ずっと前から』

彼女の柔らかい手を握りしめて溢れる思いを口にした。

花火が終わり、家で一緒にご飯を食べようと誘ったが『家族に気を遣わせるから』と、丁寧に断られてしまった。

なのでせめて駅まで送らせてと懇願し、駅までの道のりを今一緒に歩いている。

「今日はありがとうね。花火に誘ってくれて」

二人の間になんとも言えない気まずさがあり、彼女があえて明るく話しているのがわかった。
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