あの日ふたりは夢を描いた
そんな初めての会話から一週間ほどが経った頃、嬉しいことにきみとまた話をする口実ができた。
口実がなくても話しかけようとは思っていたけれど、ちょうどいい。
僕が学校が終わりレッスンに急いで行こうとしたところ、駐輪場の自分の自転車を少し雑に出したせいで、他の自転車まで倒してしまったんだ。
派手に十台ほど。
「あぁ……」
口からため息が出て仕方なしに自転車を一つずつ立て直し始めた。
二台ほど元に戻したところで、なにも言わずにスッと隣に来て自転車を一緒に戻してくれている人がいた。
……並木真白。
「ありがとう」
きみの横顔を見ながらそう声をかけてみたけれど、頭をぺこりと少し下げるだけで一瞬たりともこちらを見ない。
そんなきみの姿ですら微笑ましく思えて、そのわずかな二人だけの時間を噛み締めながら自転車を戻した。
口実がなくても話しかけようとは思っていたけれど、ちょうどいい。
僕が学校が終わりレッスンに急いで行こうとしたところ、駐輪場の自分の自転車を少し雑に出したせいで、他の自転車まで倒してしまったんだ。
派手に十台ほど。
「あぁ……」
口からため息が出て仕方なしに自転車を一つずつ立て直し始めた。
二台ほど元に戻したところで、なにも言わずにスッと隣に来て自転車を一緒に戻してくれている人がいた。
……並木真白。
「ありがとう」
きみの横顔を見ながらそう声をかけてみたけれど、頭をぺこりと少し下げるだけで一瞬たりともこちらを見ない。
そんなきみの姿ですら微笑ましく思えて、そのわずかな二人だけの時間を噛み締めながら自転車を戻した。