あの日ふたりは夢を描いた


校内では半袖の白いポロシャツがすっかり見慣れてきた。

そんな放課後、私は図書室で過ごしていた。

静かな場所で数学の宿題をしようと足を運んだのだが、昔好きだった作家の本がたまたま目に入ってしまった。

机に持ち出してページを開くと、いつの間にか時間も忘れ読み耽ていた。


「なにか面白い本があった?」

顔を上げるといつの間にか現れた相馬くんの姿があった。

「どうしたの?」

「きみに会いたくて探してたら見つけた」

「探してたらって、家に帰ってる可能性だってあったよ?」

「下駄箱に靴があったから、どこかにいるなぁって思って」

そこまでして私を見つけたかったの……?

それは口には出さず、「レッスンには行かないの?」とそれだけ聞いた。

放課後足早に帰る彼がまだ残っているなんて珍しい。
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