あの日ふたりは夢を描いた
「昔の夢なんてもう忘れたよ!なんでしつこくそんなこと言うの!

……もう、その話はしないで」

私は読んでいた本をパタンと強く閉じ机に置いたまま、椅子の脇に置いていたリュックだけを持って走り出した。

普段ならこんなに感情的になることはないんだけど、家でのことも相まってイライラしていた。


……みんな昔のことばっかり。

階段を駆け下り下駄箱に着いた頃には、堪えていた涙がこぼれ落ちていた。

下駄箱に人気がないことが唯一の救いだ。

昔が輝いていたなんて、自分が一番わかってるよ。

わかってるけど、もうあの頃の自分じゃないから……

鼻をすすりながら止まらない涙を何度も手で拭う。
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