闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
 
 
 ――アカネのことも思い出した。ジュウお兄ちゃんの家庭教師だった医大の先輩で、美人で……
 
 
 記憶を取り戻してから改めて赤根天が目の前にいる健太郎の妻になった、という話を陸奥から聞いた時には目を丸くしたが、彼の献身的な動きを観察すると、納得できなくもない。
 小手毬に観察されているとは思ってもいない楢篠はいつもと変わらず素早く検温と血圧の検査を行った後、朝食を取りに病室から姿を消した。
 すぐさまワゴンに乗せられた朝食が運ばれてくる。ミネストローネのスープとバターが入ったロールパン。すこしかためのスクランブルエッグにレタスのサラダ、デザートにはブルーベリージャムの入ったヨーグルト。点滴生活を送っていた頃と比べたら雲泥の差だ。未だ小食ではあるものの、ようやく身体が食べ物を摂取することに慣れてきたこともあり、小手毬の体つきも枯れ木のように細かったものが年頃の女の子らしいものへと変化している。まだ、月経は再開していないけれど。
 
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