闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
   * * *
   
   
「……楢篠。お前バカか。バカなんだな。バカとしか言いようがないな」
「ひぃ」

 ナースステーションで陸奥は楢篠から話を聞き、速攻で罵倒する。
 楢篠は陸奥が想像以上に怒っていることを悟り、青ざめた表情で彼の罵倒を受け入れる。

「亜桜小手毬はいま非常にデリケートな状態にあるんだぞ。何ブチ壊すようなことさらっとしてるんだ」
「だ、だっておめでたい話じゃないですか」
「で、どこまで話したんだ」
「オソザキさんが結婚する、とだけ」
「……それ余計に混乱させるパターンだ。言うならぜんぶ説明した方がまだマシだ」

「早咲先生がオソザキさん孕ませて責任取っておめでた婚する、って?」

「……ぶはっ」
「あんましうちのダンナを責めないでおくれよ、陸奥センセ」
「楢篠先生……」

 渡り廊下からピンクの白衣を翻し颯爽と登場する天に、陸奥は苦笑を浮かべる。
 さばさばした性格の彼女が陸奥は苦手だ。まだ加藤木の方が腹黒いが愛嬌がある。
 けれどその楢篠天は陸奥の苦手意識など気にすることなく夫の健太郎の前でけろりと告げる。
< 131 / 255 >

この作品をシェア

pagetop