闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
 けれど陸奥の前で彼女は、ぶん、と思いっきり首を横に振って、拒絶する。
 
 
「ジュウお兄ちゃんだけはだめ!」


 瞳を潤ませて、口惜しそうに応える小手毬の声は、震えていた。
 陸奥が動揺するほどに、彼女は妖しく美しく、恋する乙女になっていた。


「どういうことだ」
「……っ」
「ジユウはお前のことを、本気で愛しいと想っているから、今日も医局で頑張っているんだぞ? 何がダメなんだ?」


 今にも泣きそうな表情の小手毬を前に、陸奥が問い詰めれば、彼女はふい、と顔を背けて布団のなかへ隠れてしまう。
 小手毬の反応を見て、陸奥は言い過ぎたかと溜め息をつき、しずかに伝える。


「……悪い。俺も頭に血が上っていたみたいだ。すこし冷やしてくる。お前も休め。心配だから看護師を傍に置いておくぞ」
「……やだ」


 敷布からひょっこりと顔を出し、小手毬が懇願する。


「ミチノクが傍にいてくれないとあたし、おかしくなる」
「……なんだよそれ」
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