闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
* * *
一方、第二院長室に通された加藤木はうんざりした表情でほうじ茶を啜っていた。
「……まるで閉鎖病棟ね」
「それは光栄です」
「ほめてないわよ」
いつぞやのやりとりを反復したかのような言動に、加藤木がため息をつく。
それにしてもどうして貴女がここにいるんだと毒づく加藤木に、天はくすりと笑っている。
「たまたまお休みの日だったから立ち寄っただけよ。夕方には帰るわ」
「あー、そういえばご実家でしたね」
院長室という名前だが、黒いレザーのソファとガラスの机が設置された応接セットと、青々と葉を繁らせている観葉植物、空間が目立つ本棚などからどちらかといえば来客を通すための貴賓室なのだろうと加藤木は推測する。茜里病院は楢篠天が生まれ育った場所でもある。彼女のことだから家を出てからも鍵を持っていたのだろう。とある事情で実家を飛び出してきたとはいえ。
つまらなそうに応じる加藤木に、天もふうと息を吹きかけながらほうじ茶を啜る。
「……検査に連れ出されたの陸奥先生の方だったか」
「ごめんなさいね陸奥先生じゃなくて」