闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
政治と宗教の話はタブーだ、という古くからの慣習で、自由もふだん自分の親戚にそのような人間がいることを口にしない。医師として成功している諸見里の人間がこぞって得たいの知れない“諸神”を信仰しているなど、公にするのは危険だからだ。
だが、桜庭雪之丞は逆だった。
自分はこの土地に古来から存在している“諸神”によって成功したのだと、喧伝した。その結果、亜桜家は宗教法人を設立、救いを求める信者へ雪之丞とともに大金をお布施として納めさせるようになったのだ。
「亜桜家の裏家業、って揶揄されますけど、現実には宗教法人の方が表で、裏が巫による呪術なんですよ」
雪之丞が死んだことで、彼の正妻である蘭子は隠し子の存在と、この金のカラクリを知った。スピリチュアルに傾倒していた夫を快く思っていなかった蘭子は、宗教で金稼ぎをしていた亜桜家を嫌悪し、養女小手毬の医療費をこれ以上出すことを拒んだ。亜桜家から手を引いたことで桜庭一族は宗教法人と関与することもなくなり、健全な財政へ戻っていくだろう。だから蘭子の判断は正しいと自由も思っている。小手毬を傷つけたのは許せないけれど。
だが、桜庭雪之丞は逆だった。
自分はこの土地に古来から存在している“諸神”によって成功したのだと、喧伝した。その結果、亜桜家は宗教法人を設立、救いを求める信者へ雪之丞とともに大金をお布施として納めさせるようになったのだ。
「亜桜家の裏家業、って揶揄されますけど、現実には宗教法人の方が表で、裏が巫による呪術なんですよ」
雪之丞が死んだことで、彼の正妻である蘭子は隠し子の存在と、この金のカラクリを知った。スピリチュアルに傾倒していた夫を快く思っていなかった蘭子は、宗教で金稼ぎをしていた亜桜家を嫌悪し、養女小手毬の医療費をこれ以上出すことを拒んだ。亜桜家から手を引いたことで桜庭一族は宗教法人と関与することもなくなり、健全な財政へ戻っていくだろう。だから蘭子の判断は正しいと自由も思っている。小手毬を傷つけたのは許せないけれど。