闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
「私が憶測で物を言うように見える? ただ、すぐにどうこうするようなことじゃあないわ。コデマリはまだ大人になりきれていないし、雨龍も子どもに欲情するような変態じゃない。キミと違って」
「――莫迦なこと、っ」

 顔を真っ赤にする自由に「あら、図星」と飄々とした顔で天は茶化す。そしてふと、表情を改める。

「キミは亜桜小手毬に固執しすぎたんだ。すでに狸に目をつけられている。ここでおとなしく飼い慣らされてやりすごすのなら、それでもいい。けれどそうしたところでコデマリはキミのモノにならない――コデマリという器にたっぷりの精を注いだ者こそ、次の“諸神”、妻神の夫となるのだから」
「それは知ってる。じゃあどうすればいいんだ」

 低い声でぽつりと言い返す自由に、天はぽつりと返す。

「雪之丞がしたように、キミも禁忌を犯せばいい。諸見里に保護された亜桜の女神を奪った、あの男のような罪人になるのさ。ただ、死にたがりのお姫様が救われるとは思えない。彼女が自傷を繰り返すのは、女神たる重圧だけではないのだから」
「女神たる重圧以外のなにか?」
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