闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
* * *
――自由と小手毬は、異父兄妹だ。
この国の法律では、けして結婚することが許されない、禁断の関係。
幼い小手毬は自由のお嫁さんになると言ってくれた。なにも知らなかったからこそ言えたのだろう。
そんな彼女に自由も惹かれた。だが、成長すると同時に彼女は自由から距離をとりはじめた。自分が何者なのか察してしまったからだろう。それでも、自由は彼女に嫌われてないことに安心していた。あの事故が起こるまでは。
あの事故が起きて、自由は小手毬に抱く感情が妹への愛情とは異なるものだと痛感した。幼稚な独占欲と征服欲を制しながら、自由はこの気持ちを押さえ込もうと努力した。
けれど小手毬は雪之丞の死によって女神の“器”になってしまった。自由の手の届かないところへ連れていかれてしまう。彼女を手に入れるためには情交を行わなくてはならない。けれど兄と妹がそれを行うのは許されざること。
だから天は自分に小手毬を諦めさせようと、言い放ったのだ。「現実を見ろ」と。
「それでも欲しいと希うことすら、罪なのか」