闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
 小手毬は淋しそうに笑う。記憶を取り戻した彼女はすべてを諦めきったような表情を浮かべており、加藤木を切なくさせる。
 この場に陸奥がいたらムスっとした顔で反論するだろうなと思いながら、加藤木は訊ねる。

「コデマリの身体はほぼもとに戻っているけれど、相変わらず生理だけが来ないってことよね」
「ん。子どもを作れないと“女神”の器になれない、から」

 転院初日の身体検査は主にそういうことだったらしい。彼女が処女であることの確認と、子を為すための生殖器についての検査を念入りに行い、排卵が確認され次第性行為ができるよう身体を慣らしておくよう指示されたという。なぜ女医である加藤木でなく陸奥が指名されたのか、それは彼女の身体を男に慣らすためだと……
 陸奥はバカバカしいと抵抗していたが、小手毬が駄々をこねたとかで、十日に一回ほど、彼は小手毬の病室で初心な身体に快楽を教えているらしい。彼のことだから本気になることはないだろうが、罪深い役回りである。

「陸奥先生はコデマリに優しい?」
「たぶん。ときどき意地悪する、けど」
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