闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
 まさか、自由は瀬尾による医療行為を見ていたのだろうか。病室の扉には申し訳程度の窓がついているから、覗こうと思えば覗けるだろうが、病棟にひとがいないことに慣れていた小手毬は気にしたこともなかった。見られていたという事実に、ふたたび身体が熱くなる。

「だめ、ジユウ、おにいちゃ」
「小手毬。いいね」

 なおも拒もうとする小手毬を無視して、自由は彼女の唇を容易く奪う。この病院へ転院してから唇を許したのは陸奥だけ。その陸奥も、小手毬が駄々をこねるまではけしてふれようとしなかった。自由は小手毬の意志を無視して唇を押し付け、ぬるりとした舌先を口腔へ滑らせていく。

「ふぁっ……」
「すきだ。小手毬」

 舌を絡めるような接吻なんて初めてで、小手毬は自由に翻弄されつづける。身体に炎を点すかのように、自由の口づけは小手毬を熱くする。

「あぁっ」
「――もう、ほかの男にはさわらせない」
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