闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
 恋の痛みをなくす薬が欲しいと小手毬は陸奥に話していた。
 そんなものはないと一蹴することしか陸奥にはできなかった。
 ずっと小手毬は自由を想っていたから、その気持ちを諦めたくて、麻酔などにすがったのだろう。
 けれど恋愛をなかったことにできる麻酔など存在しない。存在したとしても、麻酔はいつか醒めるものだ。

 ここで陸奥が彼女に打つのは、彼女の意識を失わせ、呼吸を止める全身麻酔である。

 “女神”の“器”として方々から狙われていた桜庭雪之丞の娘、亜桜小手毬はここで死ぬ。
 その先のシナリオは赤根雨龍が用意している。
 医療行為の最中に小手毬が死んでしまったという責任から、瀬尾は自死を選んだことになる。
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