闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
「ジユウくんはすべてを擲ってでもコデマリちゃんを手に入れようと動いた。彼女もまた、それに応えた。この先ふたりが待ち受けているものが何かはわからない。わたしも知らないし、知る必要はないと思うんです。ただ、わたしはジユウくんの危険なまでの一途な姿を応援したかった」
「それだけ?」
「コデマリちゃんがずっと彼を想い続けている姿も見ていた。ふたりを阻む障壁を壊したかった。だけどその結果、ナラシノ先生の復讐は叶わなかったわね」
「……私はいいんだよ。亜桜小手毬が死んだのなら赤根一族が血眼になることもないから」

 いちどは小手毬を自由から引き離すことが叶った。想定外の交通事故で。
 だが、その結果、自由は小手毬を救おうと、道を違えた。それは諸見里の家を棄てるという彼なりの選択だったのかもしれない。
 あの家は過去に“女神”に去られて没落した。“女神”は赤根一族の“冬”で彼女の異父弟である桜庭雪之丞に加護を与えた。諸見里と赤根は表面上仲良くしながらも水面下では確執を抱いていた。天は“女神”の“落とし子”である自由に興味を持った。けれど彼の傍には“女神”が“器”にしようとしている小手毬もいた。
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